担当教員:小林ゆきの

今回の「専門英語1」の体験授業では、障害者権利運動のリーダーとされるJudith Huemannさんの英語インタビュー動画を取り上げ、その中で使用されている英語表現等を練習しながら、障害者権利運動や共生社会について学び、ディスカッションを行いました。

通常この授業は3年次に開講される授業ですが、今回は体験授業ということで、前半は参加者の皆さんが慣れ親しんでいる英語にフォーカスをあて、後半は少し内容に踏み込み、グループディスカッションをしていただきました。

まずはウォーミングアップとして、動画から簡単なリスニング問題を出しました。Judithさんが5歳の頃にどこで過ごしていたかを尋ねる問題では、全員が「New York」と正解し、次に、当時存在しなかったものは何かという問題でも、「motorized wheelchair(電動車椅子)」と全員が正しく答えられました。

リスニングに続いては、発音練習も兼ねて音声学的な話をしました。motorized wheelchairに出てくる英語の「r」や「l」の音は、日本語の「らりるれろ」とは異なった発音の仕方をします。英語の「r」は舌が上顎に触れず、英語の「L」は舌の先端が前歯の付け根あたりにつきます。対して、日本語の「らりるれろ」は、舌先を前歯の付け根より少し後ろのところに「l」よりも広げてしっかりとつけます。参加者の皆さんには「お母さん、ラーメンが食べたい」というセリフの「ラーメン」の直前で止めていただき、その位置を確認してもらいました。

個々の発音練習の後、Judithさんの “It was not accessible.” という表現を今回のUseful Expressionsとして発音練習を行いました。accessibleという単語の意味を確認したのち、Judithさんのアメリカにおける障害者権利運動の話、そして共生社会へのビジョンを語る場面へと入っていきました。それらを元に、授業の終盤では、参加者の皆さんに「視覚障害者等にアクセシブルになることで他の多くの人たちにも便利になることは何か」というテーマでグループディスカッションをしていただきました。できるだけ身近なもので考えていただいたところ、駅の切符売り場での読み上げ機能や冷蔵庫の中身の読み上げ機能等々の様々なご提案をいただきました。これらは、文字が見えにくくなる中高年や背の低い子供でも暮らしやすくなるような素晴らしいアイディでした。

30分の体験授業では、まだまだ足りないところもありましたが、英語を通して共生社会について学ぶ、ということを少し体験いただけたかと思います。次回は共生社会創成学部の授業で、さらなるディスカッションができることを楽しみにしています。

拡大読書機のある教室。小林ゆきのによる授業の風景。