インタビュー 学部長 香田泰子(こうだやすこ)

先生のご専門は何ですか?

これまで、視覚障害者の運動・スポーツ活動と体力や心身の健康との関連について検討してきました。そして晴眼者と同様、視覚障害者においても運動・スポーツ活動がこれらに有効であることを報告してきました。一方でわが国では未だ、視覚障害者を含めた障害のある人がスポーツするには制約があります。スポーツを行うには、施設、そこまでのアクセス(移動)、指導者やサポーター、仲間、用具、そして情報など様々な要因が関わっています。障害のある人がその人の目的に合わせて、今よりも身近にスポーツ参加できるための実践研究を進めています。

新学部ではどのような授業を担当するのですか?

視覚障害コースの健康スポーツの授業(健康スポーツA~D、シーズンスポーツA、B)を担当します。また、両コースの共同実施科目である「障害者スポーツ」も担当します。

「健康スポーツ」の授業では、健康や体力の保持増進に関する理論の学修と、視覚障害があってもできる様々なスポーツ(視覚障害者スポーツやその他のスポーツ)を実践的に体得します。1年次の「健康スポーツA、B」では、講義や実技によって自分の健康づくりの方法や自分に合ったスポーツを見つけていきます。また2年次の「健康スポーツC、D」はそれらの応用となります。「シーズンスポーツ」はボルダリングやクライミング等、学外施設での集中授業です。

「障害者スポーツ」では様々な障害者スポーツを実践的に理解し、指導や支援方法について学びます。日本パラスポーツ協会公認「パラスポーツ指導員(初級)」の資格取得につながる授業です。

共生社会創成学部の受験を考えている学生へのメッセージをお願いします

私たちは共生社会を「障害者等、多様な人々が今以上に積極的に社会に参加し、活躍・貢献していくことができる社会」と考えています。そのような社会の実現を推進していく人材を育てることが、この学部の目的です。「共生社会」という言葉を耳にするようになってからかなりの年月が経っていますが、まだその発展途上です。実現への加速度をあげるためには、障害のある人自身が、自分を含めた多様な人々について社会で理解を深めてもらい、どのような環境があれば自分たちがより一層社会参加できて、能力を発揮できるのか、伝えていくことが必要です。そのことを、自分の言葉と行動で発信できるようになってもらいたいと考えます。

視覚障害者と聴覚障害者のための本学で、情報を十分に獲得しながら、同じ障害、そして異なる障害の人たちと学修したりコミュニケーション、ディスカッションすることで、自分たちやお互いを理解しましょう。また、プロジェクト系科目では学外の組織と連携した活動を行います。そこでは社会の方々との対話が求められるでしょう。このような学内外での学びと実践を通して、卒業後は社会の変革に働きかけていくような人材になってほしいと思っています。

皆さんを迎えるために、私たちはワクワク・ドキドキしながら準備を進めています。筑波技術大学で一緒に新しい歴史を作っていきましょう!

香田先生授業風景画像