千葉県立中央図書館

読書推進課 宮﨑佳代子様

1. 千葉県立中央図書館は、どのような組織ですか?

宮﨑/千葉県立図書館は、中央図書館、西部図書館、東部図書館の3館で構成されており、身体等に障害があり図書館の利用が困難な方にも図書館資料をご利用いただけるように、様々なサービスや設備をご用意しています。録音図書等を収集・製作するほか、対面朗読、国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスやサピエ図書館からのダウンロードによる資料提供、郵送サービス等です。また、図書館員向け研修会を開催し、市町村立図書館等への読書バリアフリー理念の普及を図っています。
障害者サービスは以前から提供していました。1984年の対面朗読サービスから始まり、1988年の西部図書館の開館を機に録音図書の制作を開始しました。さらに、1998年の東部図書館の開館以降は、3館それぞれで対面朗読と録音図書の制作を行っています。
また、1991年以降、障害者サービスの担当として視覚障害者職員を配置するようになりました。障害者職員用の事務機器を導入するにあたり、障害者サービスで使用する機器も一括で調達する方式が採用されました。現在は、中央図書館が3館分の機器を5年リースで調達しています。一部の機器については、利用者への館外貸し出しを前提としているため、リース契約には保守費用も含まれております。

(5年リースということは、5年ごとに機材が更新されるのですか?)

はい。5年ごとに最新の機器が揃う形になります。

(調達の要件はどのように検討されていますか?)

図書館で実際にサービスを担当している視覚障害者職員が、必要な事務機器やサービス提供に利用する機器について話し合い、決定しています。この中には、利用者が使用する機器だけでなく、アクセシブルな資料を作成するための機器も含まれています。

参考)「千葉県読書バリアフリー推進計画」より
千葉県では、本県の実情を踏まえ、全ての人が等しく読書活動を行うことができる環境を整備することを目指し、県の読書バリアフリー推進に係る施策を総合的に推進するための指針として、推進計画が策定されている。

県立図書館の取り組み(p7-8から抜粋)
障害等により図書館利用が困難な方が、資料の提供を受けられるよう、録音図書等を収集・製作するほか、対面朗読、国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスやサピエ図書館からのダウンロードによる資料提供等、各種サービスを実施するとともに、図書館員向け研修会を開催し、市町村立図書館等への普及を図っています。
ア 「①視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等」に関する取組
・録音図書等(点字図書のデータやテキストデータを含む)の貸出・製作
・対面朗読
・大活字図書、点字雑誌、点訳絵本、LLブック(わかりやすい本)等の提供
・拡大読書器、活字読み上げ機器、音声読み上げ機能付きパソコン等の設置
・読書補助具の貸出
・「やさしい利用案内」の作成
・点訳絵本の作成(中央図書館)
・活字資料のテキストデータ化(西部図書館)
・館内にバリアフリー資料を集めた「りんごの棚」を設置、ピクトグラム、点字サイン設置(中央図書館)
・館内に障害者サービスを紹介するミニコーナーを設置(西部図書館)
・特別支援学校訪問読書支援(おはなし会や「図書館の使い方」授業の実施、図書室の運営相談等)
・敷地内点字ブロック設置
・指向性スピーカーや、コミュニケーションボード、筆談用具の設置
イ 「②インターネットによるサービス提供体制強化」に関する取組
・「視覚障害者情報総合ネットワーク(サピエ)」への所蔵録音図書等の目録情報提供
・「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」への録音図書等のデータ提供
・オンラインによる遠隔対面朗読の実施(西部図書館)
ウ 「④端末機器の情報入手支援、情報通信技術の習得支援」に関する取組
・読書バリアフリー講座(中央、西部図書館)
・サピエ図書館活用講座(中央図書館)
エ 「⑤製作人材・図書館サービス人材の育成」に関する取組
・障害者サービス研修会(西部図書館)
・公共図書館等新任職員研修会での講義
・図書館音訳者養成講座
・障害者のための資料デジタル化講座(西部図書館)
・日本図書館協会障害者サービス担当職員養成講座実習生の受入れ(西部図書館)

施策の方向性と取組(p18-30から抜粋)
1 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(法第9条関係)
(1)円滑な利用のための支援の充実
・点字図書館との連携
・新千葉県立図書館・県文書館複合施設の整備にユニバーサルデザインを採用
・視覚障害者等向けサービスの充実
・市町村立図書館等への研修に、サービスの開始・充実・既存サービスとの窓口機能に役立つ内容を盛り込む
・バリアフリー紹介セットの関係機関への貸し出し
・学校(特別支援学校を含む)への情報提供
・県民・市町村立図書館等向けの相談窓口の設置、障害者サービスの案内
(2)アクセシブルな書籍等の充実
・市町村立図書館等が必要な資料を借り受け提供
2 インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(法第10条関係)
・県立図書館としてインターネット等のネットワークを利用したサービスの充実、市町村立図書館等へのノウハウ共有
3 特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(法第11条関係)
・制作ノウハウやツールの情報提供と、質の向上
4 端末機器等及びこれに関する情報の入手支援、情報通信技術の習得支援(法第14条、15条関係)
・各種講座の開催、市町村立図書舘等への情報共有・普及
5 製作人材・図書館サービス人材の育成等(法第17条関係)
(1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上
・研修会や実習生の受入と資質向上。県作成のリーフレット等を活用し、職員が障害者サービスの案内をできるよう周知
(2)点訳者・音訳者、アクセシブルな電子データ製作者等の人材の養成
・講座の開催による養成と資質向上
・若年層対象の講座を開催し、将来的な担い手を拡大

2. 個人への機器貸与に関する業務の流れは?

宮﨑/読めない・読みにくい方のための読書相談(読書バリアフリー)の一環として、読書支援機器に関する相談・ご案内を行っています。利用者登録の際、ご本人に読書が困難な状況やどのような形で読書をしたいのかについてヒアリングしています。利用者向けに機器を貸し出すサービス自体は従来、カセットテープの時代1から行っています。ただ、機器単体での貸し出しは行っていません。あくまでも資料にアクセスするための手段の提供です。
コンテンツを入れた読書支援機器を貸し出します。依頼方法は電話、メール、来館の3つです。また、受け渡し方法は、来館であれば対面で、電話やメールで依頼を受けた時は郵送になります。

(どのような体制で行っていますか?)

障害者サービスを専任で担当する職員3名が対応し、兼任職員もサポートに加わります。ただし、複雑な案件は専任職員が主に対応しています。

(様々な障害種別への対応は困難ではありませんか?)

大変です。利用者のニーズは多様であり、サービスのカスタマイズが必要です。そのため、利用登録時に20〜30分かけて詳細なヒアリングを行います。その上で適切なメディアを判断し、いくつかの機器を試していただくかたちになります。ご家族向けの簡易な説明書を同封したり、施設の職員の方に使い方を説明したりすることもあります。必要に応じて、点字図書館が開催している機器の使い方を勉強するための教室を紹介することもあります。

(タブレット貸出時のID管理は?)

個人利用者へタブレットを貸し出すことはほとんどありません。多くの方が自身の機器を持っているため、使用方法の説明や、サピエや国会図書館からのデータのダウンロード方法を案内する形が一般的です。
団体貸し出しのときはネットワークにはつながない設定で貸し出します。サンプルのコンテンツを試すくらいしかできないかたちです。基本的にはどういうものかを知るための貸し出しなので、使えるようになったらご自身の端末を使った方が便利なのだと考えられます。

(返却時に備品が不足していることはありませんか?)

まれに個人利用者がケーブルなどを返し忘れることがありますが、その際は連絡し、返却してもらいます。図書館システムのメモ欄機能を活用し、返却状況を確認しています。

(機器の破損リスクについて)

貸し出し時には「破損・紛失に注意してください」と説明しますが、細かい規定は設けていません。ただし、団体貸し出しに関しては「破損時には弁済対象となる」旨を貸出申込書に明記しています。

3. 団体向けに「読書バリアフリー資料紹介セット」の貸与を始めたきっかけは?

宮﨑/この取り組みは、2023年3月に千葉県教育委員会が策定した「千葉県読書バリアフリー推進計画」に基づいているものになります。2024年7月より、「読書バリアフリー資料紹介セット」の貸し出しを開始しました。このセットには資料に加え、タブレット、デイジー再生機器、電子ルーペが入っています。貸出対象は県立の特別支援学校、および県内の市町村図書館です。相互貸借を行うためには協定が必要なため、各地域の小・中学校へは市町村図書館を通じて貸し出す形になります。

(「読書バリアフリー資料紹介セット」の貸出にかかる経費)

1セットあたり約40万円程になると思います。資料を陳列する棚を含め貸し出しておりまして、それらが2セット分で30万円程度。加えて、小型デイジー再生機、電子ルーペ、タブレット、ケースなどの費用が必要です。送料に関しては、120サイズの箱2つ分となり、運送会社の規定に従い送料と保険料が発生します。千葉県立図書館と市町村立図書館等との間には協力車が巡回するシステムがあるので、それを利用することもあります。

4. 機器に関する情報収集はどのようにしていますか?

宮﨑/障害者サービスの担当になった兼任職員は、日本図書館協会や当県立図書館主催の研修会に参加することで、障害者サービスの内容を理解し、機器に関する知識を得ています。障害者サービス専任職員は、どちらかというと研修を主催することが多いです。
最新のICT機器に関する情報は個人で収集する必要があります。他の図書館や障害者情報提供施設、オンラインの情報源、障害当事者職員によるネットワークなどの情報源を活用し、情報をキャッチアップしています。

参考URL

千葉県立中央図書館 https://www.library.pref.chiba.lg.jp/
千葉県立中央図書館 障害者サービス/読書バリアフリー
https://www.library.pref.chiba.lg.jp/guide/handicap/index.html
千葉県読書バリアフリー推進計画の策定について https://www.pref.chiba.lg.jp/kyouiku/shougaku/dokusho-bf/keikaku.html

  1. 録音図書がカセットテープで製作され始めたのは1980年代です。1本のテープに2倍の録音を行なう事ができる特殊な仕組みで製作されており、盲人用リーディングマシンと呼ばれる特殊な機器で再生するものでした。(参考:日本点字図書館「録音図書について」↩︎