読書ガイド

目次

様々な読書方法

拡大して読む

大きなフォントで印刷された本を「拡大図書」「大活字本」と呼びます。通常の本を、道具を使って拡大して読むことも可能です。図書館で貸し出している「拡大図書」「大活字本」がありますので、お近くの図書館で探してみてください。拡大読書器を設置している図書館もたくさんあります。機器に関する情報提供している医療機関もあります。

音で聞いて読む

音で聞いて読む本を「音声図書」「録音図書」と呼びます。

デイジーと呼ばれる形式で製作された録音図書は、専用の再生機が必要である一方、聞きたい場所に瞬時に移動できたり、再生速度を変更できたりと、読書を支援するさまざまな仕組みが備わっています。デイジー図書が入ったCDの利用だけでなく、データをSDカードや再生機本体に入れて持ち運ぶことのできる機器もあります。

図書館では「音声図書」「録音図書」を貸し出したり、CDを郵送したり、再生する機器を貸し出したりしています。お近くの図書館でどのようなサービスを行っているのか、確認してみてください。

録音図書になっていない書籍や資料は、「誰かに読んでもらう」ことも効果的です。自分で読むことが難しい資料を持参し、その場でボランティアの方に読んでもらう「対面朗読サービス」を実施している図書館があります。

また、スマートフォン、タブレット、PCにも音声読み上げ機能が標準装備されていて、インターネットの記事やPDFデータを読み上げることが可能です。操作には練習が必要なので、教室などに参加することをお勧めします。

音による読書を必要としているのは、障害者だけではありません。「ながら読書」、すなわち移動中や作業中に本を読みたいというニーズもあります。プロのナレーターや声優が朗読した「オーディオブック」には、機械や朗読ボランティアによる読み上げとは違った魅力があります。

点字で読む

点字で印刷されている本は「点字図書」「点訳図書」といいます。音で聞いて読む場合に比べ、確認しながら正確に読むことが可能です。図書館で貸し出しているものがありますが、点字本はかさばるので、「サピエ」というオンライン図書館から点字データをダウンロードして、点字ディスプレイで読む方が多いです。
これから点字を学ぶ方は、視覚障害者情報提供施設に相談してください。

電子化して読む

筋力の低下等で本のページがめくれないという方、文字の音声とハイライトを組み合わせる等して読みたい方は、電子化して読むことが考えられます。ご自身が使う範囲で本を電子化し加工することは、著作権法という法律で認められている行為です。どこまでやってよいか心配な方や、電子化する道具が無いという方は、お近くの図書館へ。その道のプロである司書さんが対応してくれます。

困難別による傾向

目で読むことがつらい方

文字情報を拡大したり、音や点字に変えて読んだりすることが可能です。拡大図書、録音図書、点字図書などと呼ばれる書籍の他、誰かに読んでもらったり(対面朗読)、機械の音声(スクリーンリーダー)で読み上げたりする方法があります。
情報を取得する状況や、求められている精度によって読み方を変えている人が多いです。

ディスレクシアの方

文字を拡大する、音に変換する、行間を空ける、ハイライトや色シートと組み合わる等により、読書がしやすくなる方が多いようです。人によって読み易くなる方法が違うので試行錯誤が必要ですが、一度やり方が分かると、様々なことがぐんと楽になります。こういった読書には、電子書籍が向いています。

本を持つことやページをめくることがつらい方

書籍を固定台(アーム式、テーブル置き式、自立スタンド式)において読む他、電子化してタップでめくる、意思伝達装置のスイッチを使ってめくるといった方法が考えられます。視覚障害者以外でも、ご自身が使う範囲で本を電子化することは、著作権法という法律で認められている行為です。スマホやタブレットを操作するためのスイッチについては、障害者ICTサポートセンター等にご相談ください。

読書自体もいろいろ

手紙、新聞、広報の情報を取得したい方

公的機関からの案内や広報には、拡大版や点字版等、読み易い形式のものが準備されていることが多いです。日常生活に関わる重要な情報は、きちんと読める形で提供するのが公的機関の責務です。そうでない場合は、役場の方に「困っているよ」と相談してみてください。障害者差別解消法という法律によって、民間企業を含め、改善する努力が求められています。
私的な手紙については、誰かに読んでもらうのが早いかもしれません。ボランティアの方が手を貸してくれますので、お近くの図書館や社会福祉協議会に相談してみてください。

学校や職場で読むことがつらくなっている方

読書のしやすさが、学校での成績や職場での評価に関わっている場合があります。視力や筋力の低下によってあなたの価値が損なわれる訳ではありません。ぎりぎり目視できているのだけど、早くたくさん読むのは大変という状況になった段階で、周囲に相談し始めてください。読み間違いや見落としの対策をしつつ、早く正確に読むための練習や環境整備を始める必要があります。

文字中毒! 四六時中読書を楽しんでいる方

つける薬がありません。このページにたどり着く前にきっと様々な読書方法を試していることでしょう。