本を探す
目次
アクセシブルな本を探す際に利用できるリソースの紹介
電子書籍
電子書籍については「リフロー型」と呼ばれるフォーマットで製作されていて、電子書籍ビューアーがアクセシビリティ機能に対応していれば、いろんな方法で読むことができます。例えば、Amazon Kindleストアで販売されている書籍の登録情報を確認してみてください。「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能)」が有効な場合は、音声で読み上げることができる本です。「Word Wise」が有効な場合は、行間の調整ができます。自分にとって読み易いかどうか、サンプルを試し読みして確認することができます。
また、「アクセシブル・ブックス・サポートセンター(ABSC)」という出版社の取組が準備されています。アクセシブルな書籍データに関する問い合わせに対応する一次窓口として機能することが期待されています。
読書の際に利用できるICT機器の紹介
音声読書機
音声読書機は紙の本を音で聞いて読むための道具です。備えておくと、蔵書とセットで貸出することで、すぐに利用できる点が特徴です。コピー機でスキャンする時のように本の文字を読み取り音声化するタイプ(よむべぇ等)と、紙面を撮影して本の文字を読み取り音声化するタイプ(エンジェルビジョンデスクトップリーダー等)があります。コピー機型は、読み取り精度が比較的高いですが、重く、貸し出しに向かない製品が多いです。撮影型は軽量化されていますが、部屋の明るさ等によって読み取り精度が左右されます。
購入を前提としたレンタル、あるいはサブスクリプション契約を準備しているメーカーがありますので、必ず事前に読み取り精度を確認してから購入してください。
デイジー機器
デイジー機器は、デイジー図書を読むための機器ですが、他にもMP3やテキストデータに対応しているものがあります。自館で製作したデイジー図書を格納したCDやUSBをセットにして貸し出したり、みなサーチやサピエ図書館等で検索し、デイジー図書等を貸し出している他館からデータを入手して、機器に保存した状態で貸し出したりすることができます。
据え置き型の製品(プレクストークPTN3等)は操作を簡易化するためのカバーが付属していたり、携帯型の製品(ポケブックVine C1等)はボタンが6つのシンプル構造だったりと、直感的に操作することができる点が特徴です。
タブレット/スマートフォン
タブレットやスマートフォンのOSは、iOS、Android、Chromebookがあります。一台あれば、市販されている電子書籍を、電子書籍ビューア、電子図書館、デジタル教材アプリ、スイッチ等を活用して、様々な方法の読書を体験することができるようになります。また、紙の書籍とアーム、拡大鏡アプリと組み合わせ、見え方を調整して読むこともできます。
しかし、タブレットやスマートフォンはOSによって価格やサポートの難易度、対応しているアプリの幅が異なります。それぞれの図書館の実情を踏まえてご検討ください。
電子書籍ビューア、電子図書館アプリ
電子書籍ビューアや電子図書館アプリは、JIS X 8341:3-2016というJIS規格に基づいて設計されているものを調達してください。このJIS規格は、国立国会図書館「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」においても指定されています。現時点では、電子図書館アプリの中では、LibrariE & TRC-DL等が同規格に対応していることを明記しています。電子書籍ビューアに関しては、例えば、Kindleアプリが対応しています。(日本語版Kindleは一部非対応)
拡大鏡アプリ
拡大鏡アプリは、「拡大鏡」「Rebokeh」など様々なものがあります。どちらもフリーソフトで、「拡大鏡」はiOSにプリインストールされています。タブレットやスマートフォン用アームで固定して拡大鏡アプリを活用すれば、拡大読書器の代わりとして使用することができます。このため、紙の書籍を拡大鏡アプリ、スマートフォンやタブレット、それを固定するアームとセットにして貸し出すと良いでしょう。スマートフォンが普及していますので、利用者が所有している機器を読書に活用することができると気付くきっかけにもなります。
デジタル教材アプリ
デジタル教材アプリとは、教科用特定図書を、PC、タブレット、スマートフォンで利用することができるよう開発されたアプリを指しています。教科用特定図書とは、教科書バリアフリー法に基づき作成される教科書データで、これに対応するアプリで汎用性が高いものを、仮にデジタル教材アプリと呼びます。
デジタル教材アプリには様々な特徴のものがあります。しかし、アプリごとに対応しているOS(表1)やデータ形式(表2)が異なり、アプリとデータの組み合わせによっても、できることや使用感が異なるので、一通りの組み合わせを試してから、使う人に合ったアプリとデータを選ぶことをお勧めします。
表1. デジタル教材アプリが対応しているOS一覧
Windows | Android, Chromebook | iOS | |
ChattyBookBox | ○ | ○ | ○ |
UD-Book | ○ | ○ | ○ |
UDブラウザ | ○ |
表2. デジタル教材アプリが対応しているデータ形式一覧
デイジー | MP3 | EPUB | HTML | TEXT | ||
ChattyBookBox | ○ | |||||
UD-Book | ○ | |||||
UDブラウザ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
デジタル教材アプリを活用する際の参考情報
- 学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム「著作権法37条を遵守し学校図書館でできること」 https://accessreading.org/conso/remake/
- 文部科学省「教科用特定図書等(拡大教科書、点字教科書、音声教材)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/1371719.htm
スイッチ、スイッチインターフェイス
本提案におけるスイッチとは、重度障害者用意思伝達装置等に使用される入力装置のことを指しています。このスイッチを、タブレット/スマートフォン、カメラアダプタ、スイッチインターフェイスと組み合わせて使用することで、重度障害者の方が自分で電子書籍のページをめくり、自分のペースで本を読むことができます。
- スイッチとタブレットを使って電子書籍を読む方法(筑波技術大学テクノロジーハブ)https://www.i.tsukuba-tech.ac.jp/techhub/241021-2/
国立障害者リハビリテーションセンターが作成している「意思伝達装置用スイッチ」一覧ページに、様々な種類のスイッチが紹介されています。例えば、手指が動く方は接点式スイッチの活用が考えられますが、他にも顔の動きや足の動きで操作するスイッチもあります。
- 国立障害者リハビリテーションセンター「意思伝達装置用スイッチ」https://www.rehab.go.jp/ri/kaihatsu/itoh/com-sw.html
スイッチ用インターフェイスは、スイッチボックスという名前でも販売されています。国立障害者リハビリテーションセンターが作成している一覧がありますが、価格に幅があり、製造中止になっているものもあります。加えて、使用しておられるタブレットやスマートフォンのOSに対応するもの、Bluetooth接続のものや有線接続のもの、有線接続の場合は接続端子の違いもありますので、組み合わせに注意して選んでください。
- 国立障害者リハビリテーションセンター「情報アクセス機器研究室」https://www.rehab.go.jp/ri/kaihatsu/itoh/android_Accessibility.html#interface
カメラアダプタ、タブレット用アーム
カメラアダプタ、タブレット用アームは、市販品です。家電量販店等で取り扱っています。
カメラアダプタは、スイッチとタブレット、スマートフォンを接続するために必要です。使用しておられるタブレットやスマートフォンのOS、差込口の種類に対応するもので、(USB機器の制御や給電ができる)OTG対応のものを選んでください。iOSの場合は、Apple社によるMFi認証を受けている製品を選ぶと良いでしょう。
タブレット用アームは机などにネジでがっちり固定することができ、操作時の揺れが少ないものを選んでください。コンパクトに収納できるものは、読書中に揺れて、気分が悪くなってしまうことが多いです。
さらに詳しい情報
様々なサイトで情報発信が行われています。随時更新されていますので、以下のリンクを入口にアンテナを伸ばしてみてください。誰でもが使いやすいように設定できる、アクセシビリティの機能が搭載されている市販品も増えています。
目で読むことがつらい方、ディスレクシアの方
- 全視情協シカクの窓「読み書きに便利な道具」
- 東京都障害者IT地域支援センター「iPhone、iPad用・障害のある人に便利なアプリ一覧」
- ATティービー「ロービジョン・視覚障害(プレイリスト)」
- LINEオープンチャット「視覚障害者情報交換所」
- 日本盲人社会福祉施設協議会 盲人用具部会「用具・ドット・ジェーピー」
ページをめくることがつらい方、その他の方
すべての方
ICT機器購入に活用できる福祉予算
障害者が福祉用具を購入する際には、補装具支給制度、日常生活用具給付等事業の対象として補助金が出る可能性があります。いずれも、利用する人の状況をアセスメントし適切な用具を選定する必要があります。また、補装具支給制度、日常生活用具給付等事業は、用具ごとの耐用年数を定めているため、合わない用具を選んでしまった場合に再給付を受けることができません。このため、障害者が読書のための機器を試用し、購入に踏み切る際には、点字図書館、特別支援学校、障害者ICTサポートセンター、当事者団体、医療機関等に所属する、専門知識を有する人に相談してから購入するように勧めてください。詳しくは、地域の市区町村障害福祉担当課にご確認ください。
日常生活用具給付等事業
日常生活用具給付等事業は、自治体により規定が異なりますが、音声読書機やデイジー機器が情報・意思疎通支援用具に該当することが多いです。市町村の障害福祉担当窓口に相談して支給を受けます。市町村の事業であるため、支給対象品目や申請の流れ、給付の上限額が自治体ごとに異なります。
補装具
補装具支給制度は、身体機能を補完・代替する用具を給付する制度で、重度障害者用意思伝達装置等が該当します。身体障害者手帳を所持する方のみが対象で、身体障害者更生相談所に行き判定を受けた上で支給決定されるので、少し時間がかかります。